第117章

「日向さん、今お時間ありますか。病院まで来てください。妊婦健診をして、治療ももう一度やっておきたいんです」

受話器の向こうから聞こえてきた白石先生の声は、どこか切迫していた。

日向雫はそこでようやく気づく。忙しさに追われるあまり、時間の感覚まで飛んでしまっていたことに。

「はい、すぐ伺います」

うなずいて通話を切ると、日向雫は上着を手に取り、そのまま外へ向かった。

「日向さん、付き添おうか?」

坂本時佐が声をかける。

「大丈夫です。ひとりで行けますから。心配しないでください、何もありません」

日向雫はふっと微笑み、背を向けてオフィスを出た。

病院では、白石先生の女性アシスタ...

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