第126章

日向雫はその男をじっと見つめ、何度も確かめた。――神田弥央の家の門を叩き壊した、あの男に間違いない。

背は高く、すっと伸びた体躯。煙灰色のオーダースーツを着こなし、淡い茶色の髪はきっちりと整えられている。わずかに身を乗り出した拍子に、額の短い前髪がふわりと揺れた。

通った鼻筋。くっきりした唇のライン。口元には、作りすぎない上品な笑み。端正で浮世離れした顔立ちが、またしても胸の奥の「知っている」を呼び起こす。

どこかで……会ってる?

鷹司嘉治は優雅な足取りで近づくと、彼女の脇に下がった手へ視線を落とした。軽く身をかがめ、呆けている日向雫の手を取る。そのまま手の甲へ口づけようとして――

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