第13章

雨宮静佳の表情が、ぴくりと固まった。反射的に右手で左手を隠す。

「指輪は……苦手なの!」

前田夫人が乾いた笑いで場を繕う。

「ええ、指輪って、たしかに当たって痛いこともありますしねえ」

「へえ?」

淡々としているのに、刃だけは確かな声が、ふいに落ちた。

日向雫が視線を上げる。口元に浮かぶのは、からかうような、ほとんど見えない笑み。

「鷹司奥様は、ちゃんとつけていらっしゃいますよね?」

雨宮静佳の顔から、さっと血の気が引いた。みるみる白くなり、逃げ場のない羞恥が滲む。

カフェの空気が、瞬時に凍りつく。

鷹司蓮矢はコーヒーを持ち上げ、ゆっくりと一口含んだ。

カップを置く...

ログインして続きを読む