第14章

鷹司蓮矢と坂本時佐の視線がぶつかった瞬間、空気がすっと冷えた。

怒鳴り合いも、露骨な敵意もない。

あるのは、言葉にならない張り詰めた牽制だけ。

その暗い潮目に、日向雫はまるで気づいていない。坂本時佐には何かと助けられてきたし、お礼に食事でも……ただそれだけを考えていた。

けれど隣には鷹司蓮矢が立っている。

この状況で「じゃあ行こう」とは言いにくい。

やっぱり、改めて二人きりで――。

そう口を開きかけたとき、坂本時佐が先に、穏やかにうなずいた。

「いいよ。近くにちょうど店がある。雫が好きだったところ」

坂本時佐の視線が、彼女の顔に落ちる。

「今なら席、押さえられる」

日向...

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