第144章

電話の向こうから聞こえてきたのは、雨宮静佳の声だった。背筋に、ひやりとしたものが走る。

鷹司蓮矢は、雨宮静佳のそばに付きっきりでいる。

昨夜――自分が離婚をよぎらせたことを思い出した瞬間、過去の自分を殴り飛ばしに行きたくなった。

日向雫は指先に力を込め、そのまま通話を切った。

鷹司のおじい様は救命処置の最中で、全員が救急処置室の前で待機している。

胸の奥で渦巻く苦さを無理やり押し込み、日向雫は表情を整えた。感情を畳み、ただ病室の動きを見つめる。

どれほど時間が経ったのか。

救急処置室の扉が開いた。

白石先生が出てきて、額の薄い汗をハンカチで押さえる。

「ひとまず、持ち直しま...

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