第147章

病院。

日向雫は花束を一つ買い、勝手知ったる足取りで鷹司おじい様の病室へ向かった。

命は取り留めた。意識も戻った。けれど身体の消耗は激しく、回復にはまだ時間が要る。

おじい様はベッドの上で半身を起こし、分厚いクッションに背を預けている。顔色は白く、透けるようだった。

日向雫は病室の扉をそっと押し開け、足音を殺して入る。

この五年の結婚生活で、鷹司家の中でただ一人――おじい様だけが、いつだって彼女に誠実で、寛大で、真心で守ってくれた。

そして、この結婚の中で、日向雫が唯一「申し訳ない」と思う人でもある。

「おじい様」

ベッド脇まで行くと、日向雫は柔らかな声で呼んだ。

おじい様...

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