第15章

日向雫の胸が、何かにぎゅっと掴まれたみたいに痛んだ。酸っぱくて、苦いものが喉の奥まで一気にせり上がってくる。

彼女は小さく嗤った。泣きそうな声なのに、そこにあるのは嘲りだけ。

「……結婚指輪って、勝手に外しちゃいけないんだ。あなたも、そう思ってたの?」

鋭い視線が、彼の顔を容赦なく切り裂く。

「じゃあカフェで、雨宮静佳の嘘に合わせるために外したときは? その言葉、思い出しもしなかったの?」

鷹司蓮矢の動きが止まる。真剣な表情が硬直し、喉仏がごくりと上下した。言い返す言葉が、見つからない。

ただ、彼女の指にもう一度リングをはめたかった。そうすれば、砕け散った何かが、無理やりでも元に...

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