第164章

彼女の顔から血の気がさっと引き、足元に縫い付けられたみたいに動けなくなる。胸の奥に残っていたものは、信じがたい愕然と、崩れ落ちるような絶望だけだった。

――彼は、許しに来たんじゃない。終わらせに来たんだ。

雨宮静佳はなりふり構わず駆け寄り、鷹司蓮矢の腰にしがみつく。冷えたスーツ地に頬を押し当て、嗚咽混じりに泣きじゃくった。

「お金なんていらない!」

「蓮矢、私たち、あんなに長く一緒にいたのに……私がどんな人間か、本当に分からないの? 何もいらない、ただ、あなたのそばにいたいだけなの!」

鷹司蓮矢は眉をひそめ、引きはがそうとする。けれど静佳はその動きに合わせて手を伸ばし、彼の頬に触れ...

ログインして続きを読む