第173章

日向雫は胸の底がすとんと沈んだ。

西区プロジェクトのことなら、彼女も知っている。

二年前から、鷹司蓮矢が手がけてきた案件だ。

あのビルが何に使われるのか、外では憶測が飛び交った。だが時間が経つにつれ、世間の関心も薄れていった。

――それが今になって、また燃料になる。

ここ最近はリゾートの件でトラブル続き。そこへ追い打ちのように「データの誤り」まで出たとなれば、取締役会が鷹司蓮矢を叩く格好の材料になる。

鷹司蓮矢の瞳が、ひやりと冷えた。

そして、最も不自然な一点を突く。

「この企画、お前が半年追ってきて、ミスは一度もなかった。なのに世論が荒れてる、このタイミングでだけ間違う。…...

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