第175章

十分ほどして、病室のドアがそっと押し開けられた。

日向雫は、もう来ていた。

鷹司蓮矢の件は片がついた。いずれそれは、おじい様にも伝えるつもりだ。

けれど、以前おじい様と約束したこともある。加えて、彼女は渡航の準備中だった。いったん出てしまえば、次に会える保証なんてない。

――それなのに、ついていない。

車を降りた途端、鷹司哲生が冷え切った顔で階段を上がっていくのが見えたのだ。

鷹司哲生が善意で来たとは思えない。雫はすぐ白石に電話を入れ、追い返すよう頼んだ。

さっき白石から届いたメッセージには、哲生の振る舞いへの愚痴まで添えられていた。そこで雫は知った。鷹司哲生は、そこまでやるの...

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