第179章

日向雫は、二人の間の揉め事に首を突っ込みたくなかった。ましてや、これ以上あの二人と関わり合いになるなんて、まっぴらごめんだ。

そう言い捨てると、日向雫は身をひねり、雨宮静佳の横をすり抜けて立ち去ろうとした。

だが雨宮静佳が一歩踏み込み、日向雫の手首をがしりと掴む。指が食い込み、離す気配がない。

日向雫を見据えた瞬間、胸の奥に溜め込んでいた悔しさが、堰を切ったように噴き出した。

同じように貧しい家の出のくせに、どうしてこいつだけが自分の頭の上に立てる?

鷹司蓮矢の「高嶺の花」は、本当は自分のはずだった。なのに今、あの男の心にいるのは日向雫――。

自分だって鷹司の奥さんになって、贅沢...

ログインして続きを読む