第180章

病院の冷気が、スーツ越しに鷹司蓮矢の骨の芯まで染み込んでいく。

彼は無様に床から起き上がりながら、坂本時佐の言葉を何度も何度も頭の中で繰り返していた。胸の奥を刃物でえぐるような、あの一言。

日向雫は死んだ。

――そんなはずがない。

「白石先生……白石先生はどこだ……」

自分の目で確かめる。誰の言葉でもなく、白石の口から聞くまで信じない。

ちょうどそのとき、廊下の突き当たりの防火扉が押し開けられ、白石が足早に姿を現した。

白石は心身ともに疲れ切っていて、ようやく一息つけると思った矢先――視界に、狂ったように突進してくる鷹司蓮矢が飛び込んできた。

白石の瞳孔がきゅっと縮む。胸の奥が...

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