第183章

坂本家の夫婦は日向雫の話を聞き終えると、示し合わせたみたいにほっと息をついた。

「それならよかった、よかった」

坂本の母は何度も頷き、心底安堵した顔を浮かべる。

「美波の病気は本当に重くてね。お医者さんも何人も呼んだのに、どうにもならなくて……でも時佐のそばにいると、少し楽になるの。時佐も兄としてちゃんと責任を背負って、何から何まで自分で動いてくれるでしょう? 私たちも、ずいぶん助かってるのよ」

思い出すだけでぞっとするのか、坂本の母は胸元に手を当てた。雫を身内のように扱っているせいか、言葉は次々とこぼれていく。

「時佐は仕事一筋で、スタジオの近くにマンションも買って。美波が具合を...

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