第185章

神田弥央の愚痴は痛快なくらいだったのに、日向雫は異様なほど落ち着いて聞いていた。胸の奥は、波ひとつ立たない。

「もう、どうでもいいの」

起きているあれこれなんて、何千キロも離れた自分とは、もう何の関係もない。

いま彼女が望むのは、学ぶこと。そして先生の遺作を完成させること。――本当に自分を気にかけてくれる人たちを、二度と失望させないために。

「雨宮静佳が本当に記憶喪失なのか、ただの芝居なのか。鷹司蓮矢が後悔してるのか、罪悪感なのか。これから先、私には一切関係ない」

「私がH市を死んだことにして出て行くって決めた瞬間、あの人たちとの因縁は全部、きれいに断ち切ったの」

過去の是非なん...

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