第190章

神田弥央は北野涼介を呆然と見つめたまま、しばらく頭が状況に追いつかなかった。

彼の瞳にふっと落ちた重さと、どうしようもない寂寥。それが、怒りで煮えたぎっていた弥央の気持ちを一瞬だけ鈍らせる。

弥央は意地になって喉を突き出し、素直になれないまま吐き捨てた。

「……自分から惨めになりにいってるだけ。バカみたい」

言い終えると、もう北野涼介を一瞥もしない。踵を返して車に乗り込み、ドアを乱暴に叩きつけた。

密閉された車内。弥央は考えれば考えるほど日向雫が不憫で、胸の奥がむかむかと詰まって息苦しい。

車は鷹司グループの地下駐車場を滑るように出て、整った路面へと乗り上げる。

弥央の頭の中を...

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