第192章

鷹司蓮矢は、おじい様が自分にこんな言葉を向けてくるなんて、思ってもみなかった。

胸の奥がじくりと痛む。蓮矢は水を注いでおじい様に差し出した。

「……ありません」

おじい様はそれを聞くと、長く息を吐いた。グラスは唇に触れたものの、結局ひと口も飲まず、脇へ置く。膝をぽん、と叩く手が、どこか頼りない。

「分かっている。お前にリゾートの案件を譲らせるのは……酷なことだ」

「だがな、蓮矢。これが一番いい。お前がそのリゾートを手放さなければ、お前の父親と鷹司嘉治は必ず邪魔をする。あれは雫の設計だろう? お前は、あのまま凍結させても平気なのか」

濁った瞳の縁に、涙が滲んだ。

「おじい様」

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