第195章

雨宮静佳は冷えきった顔のまま外へ出た。怒りで全身が小刻みに震え、高いヒールをカツカツ鳴らしながら廊下を突っ切る。考えれば考えるほど腹が立ち、胸の奥が詰まって息苦しい。

どうしても腑に落ちなかった。

以前の鷹司蓮矢は、彼女がどれだけわがままを言っても、どれだけ面倒を起こしても、何もかも受け止めて宥めてくれた。それが今は、まるで別人みたいに冷たい。

――このままじゃ、絶対にだめ。

歯を食いしばって歩いていた、その角で誰かとぶつかった。

「ちょっ――」

罵声が喉まで出かけた瞬間、顔を上げて凍りつく。そこにいたのは鷹司の母だった。静佳は反射的に甘い笑みを貼りつける。

「鷹司さん、こんに...

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