第207章

日向雫はすでにペンタブの前に座り、黙々と描き始めていた。

長時間ペンを握り、しかも力を込め続ければ、古傷のある手首がすぐに悲鳴を上げる。

雫はペンを握ったまま、ぎゅっと拳を作って痛みを散らそうとした。こめかみに冷や汗がにじみ、頬をつたって落ちていく。

隣で見守っていたジェニーは、汗が増えていく額と、じわじわ青ざめていく顔色に息をのんだ。

それでも、雫の手元はぶれない。――そのことが、ただただ衝撃だった。

時間は容赦なく過ぎ、授業終了まで残り三十分。

エラはとっくに課題を提出し、ソフィアと顔を寄せ合って、日向雫の失敗を待ち構えている。

「どうせ無理してるだけよ。あとで描き切れなか...

ログインして続きを読む