第219章

三人は廊下をゆっくりと上がっていく。大家さんはすでに先回りして、2階のマンションの玄関前で待っていた。

地元の、物腰の柔らかな中年女性だ。日向雫が一人暮らしの妊婦だと知ると、その瞳にはいたわりが滲んだ。

扉が開いた瞬間、ふわりと温もりが押し寄せる。

部屋全体は採光がよく、風通しもいい。間取りは整っていて、家具も家電もひと通り揃っている。今日からでもそのまま暮らせそうだった。

大家さんはにこやかに出迎え、手には、丁寧に用意した贈り物がぎっしり入った袋。

「妊娠してるって聞いたからね。ちょっとしたものだけど、用意しておいたの」

声の調子も話す速さも穏やかで、こちらが気後れするほど親切...

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