第24章

「31番、日向雫さん!」

検査室の呼び出しが、ざわつく廊下の喧噪を突き抜けた。

日向雫は反射的に立ち上がる。途端、視界がすとんと暗く落ちて、身体が言うことをきかず、ふらりと後ろへ傾いた。

「危ない!」

坂本時佐の声が、すぐそばで弾ける。

次の瞬間、しっかりした腕が彼女を受け止めた。

肘がそっと彼女の腰の横に添えられ、掌は背中を支えるだけに留まる。倒れないように――でも、馴れ馴れしくならないように。力加減は絶妙だった。

雫の足元が安定したのを確認してから、彼はゆっくり手を引く。けれど指先はまだ彼女の脇に浮かせたまま、もう一度ふらついたらすぐ支えられる距離で。

雫はしばらく息を整...

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