第44章

指先を震わせながら、雫はその暗号化されたファイルを開いた。パスワードを打ち込むと、最初の一文がいきなり目に飛び込んでくる。

【この子は、残せない】

――やっぱり、あの電話は重要だったんだ。

日向雫は背筋を伸ばし、スマホを握りしめた。

画面の冷たい光が頬を照らす。指先は勝手に下へ下へと滑り、続きの真相を一刻も早く確かめたくてたまらない。

読み進めるほど、息が喉の奥で引っかかっていく。

その先に書かれていた内容は、彼女の想像とはまるで違った。――いや、想像どころか、これまでの見立てを根底からひっくり返すものだった。

文書に記された解釈は、雨宮静佳の「耐え忍ぶ覚悟」で塗り固められてい...

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