第45章

鷹司蓮矢は離婚協議書を手に取ると、二つに折り、さらに折り重ね、指先にぐっと力を込めた。

――ビリッ。

静まり返った執務室に、紙が裂ける乾いた音だけが妙に響いた。

翌朝。鷹司蓮矢は車を回し、門の前で待っていた。

日向雫が玄関へ出ると、鷹司蓮矢の隣に雨宮静佳が立っている。いつも通りの、柔らかな微笑みを貼りつけたまま。

「蓮矢、おばさまが昨夜あまり眠れなかったみたいで……気分もまだ晴れてないの。だから、もう少し旧宅に残って、そばにいてあげたいのよ」

鷹司蓮矢へ向けた視線は殊勝そのもの。けれど言葉の矛先は、すぐ日向雫へと滑った。わざとらしいほど親切な調子で。

「日向雫は、こんなに大きな...

ログインして続きを読む