第71章

鷹司蓮矢の指先は氷みたいに冷たいくせに、握る力だけは妙に強かった。手首がきしむほど締めつけられ、雫は思わず眉をひそめる。

よほど力を入れたのだろう。蓮矢の身体がぐらりと傾き、そのまま倒れかけた。

「危ない!」

日向雫は反射的に腕を伸ばし、彼の腕を支える。触れた肌は、ぞっとするほど熱かった。

熱は、まだ下がっていない。

鷹司蓮矢は彼女の腕にもたれかかるようにして、浅く息をついた。焼けるような吐息が、雫の手首にかかる。

ゆっくりと顔を上げた彼の瞳は、夜みたいに黒い。その奥にうっすら血がにじみ、彼女の顔だけを執拗に捉えていた。

「奥さん」

一語ずつ噛みしめるように、彼は言った。声は...

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