第74章

月曜の朝。雨はしとしとと降り続いていた。

細かな雨筋が窓ガラスを叩き、水のにじんだ跡をぼんやりと広げていく。息をするだけで、溶けきらない湿った冷気が胸の奥にまで沁みてきそうだった。

新田朱音はハンドルを握り、市役所へ向かう道を一定の速度で走っていた。

その横で、彼女はずっとぶつぶつと不満をこぼしている。

「ほんと、絶対に落ち込んじゃだめだからね! 鷹司蓮矢なんて、あんたみたいないい子を大事にしないで、雨宮静佳みたいなぶりっ子に引っかかってるんだから」

「離婚するのだって、あいつの損でしかないわよ! 手続きが終わったら、ぱーっとおいしいもの食べに行って、そのあと温泉! 自由の身になっ...

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