第76章

新田朱音が日向雫の胸に飛び込み、わんわん泣き出した。

涙が堰を切ったように溢れ、あっという間に雫の胸元を濡らしていく。朱音は目をぎゅっと閉じたまま、崩れ落ちるように絶望していた。

「……あの脚本、私の命なのに!」

「ずっと徹夜で書いて……毎日4時間しか寝てない。夢の中でも展開直してたのに!」

嗚咽まじりに言いながら、朱音は雫の服をぎゅっと掴む。指の節が白く沈み、布がきしむ。

「クライアント、私の話が好きだって言ってた。登場人物の芯がいいって、今まで見た中でいちばん生きてる脚本だって……なのに、どうして急に私を切るの? こんな理不尽、ないよ……!」

朱音の泣き声に、雫の胸がきゅっと...

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