第77章

「先輩、焦らないでください。妹さんの体がいちばん大事ですから」

日向雫はそう言って、やわらかく宥めた。

「デザインの件は安心してください。ほかのデザイナーさんたちとも、きちんと連携します。絶対に失敗しません」

「……ああ」

坂本時佐の声から、張り詰めたものが少しだけ抜けた。受話器の向こうに、かすかな空港アナウンスが混じる。

雫が電話を切った直後だった。

「今日……離婚の手続き、ちゃんと終わったか?」

坂本時佐が、不意にそう尋ねたのだ。

雫は窓の外、流れていく街灯を見つめたまま、正直に答える。

「うん。問題なく」

「そうか」短く息を置いてから、彼は言った。「戻ったら、話そう...

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