第25章 見られて困ることは何もない

水原茜が断ったものの、藤原圭は構わずタオルキャップを手に取った。

「空の世話と、さっきのラーメンを作ってくれたお礼だよ」

「気にしないでください。それに、あんな高価な服まで頂いて…」

「そう言えば、さっき洋服店から返金の通知が来たよ」藤原圭は眉を少し上げた。

「他の男性に服を買ってもらうのは失礼だけど、私もビジネスマンだからね。目の前の利益は遠慮なく頂くさ」

その言葉に水原茜は驚いた。藤原圭のような紳士にも、こんな表裏のある一面があるとは。

藤原圭は躊躇わずにタオルキャップを手に取り、水原茜の長い髪を束ねた。指が髪をすり抜けると、部屋は静寂に包まれ、二人の少し荒い呼吸だけが聞こえ...