第6章 遅すぎた深情けは草より安い

 北川彰人は一週間ほど大人しくしていた。

 ようやく諦めたのかと思った矢先、銀行から通知が届いた。

【口座番号8888に入金がありました。30,000,000円】

 直後、北川彰人からのSMSが届いた。今度は水原真央の携帯からだ。

【家の代金だ。余分な分は俺からの慰謝料だと思っておけ。桜井、もうふざけるのはやめて戻ってこい。胃が痛いんだ、お前の作った粥が食いたい】

 メッセージを見て、吐き気が込み上げた。

 胃が痛い?

 以前、彼が胃痛を訴えれば、たとえ深夜三時だろうと私は起きて粥を煮込み、温かいタオルで腹部を温め、夜が明けるまでベッドの傍に付き添った。

 今、彼はこの端金で...

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