第104章 病院へ送る

神崎雅臣がオフロード車から降りた。

ヘッドライトが彼の身体を照らし、影だけがやけに長く伸びる。

一言も発さないままスーツの上着を脱ぎ捨て、隅で身を縮めている夏目千尋へ大股で向かった。

上着がふわりと彼女に掛かった瞬間、夏目千尋の身体がびくりと跳ねる。

布地には、あの覚えのある冷たい匂いが残っていた。

彼女は上着の裾をぎゅっと握りしめ、全身を抑えきれずに震わせる。

「おい、てめぇら誰だ! 俺の邪魔しやがって! こっちのバックが誰か知ってんのか!」

禿げ頭の男が凄んだ。

神崎雅臣は一度もそちらを見ない。

夏目千尋の傍らに片膝をつき、指先で手首の結び目に触れる。

きつく締め上げ...

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