第107章 停電

夏目千尋が警察署に着いた頃には、あの三人の誘拐犯はすでに取調室に押し込まれていた。

禿げた男は鼻筋にガーゼを貼られ、もう一人の脂ぎった顔の男も無事ではない。目の周りはどす黒く腫れ、口の端には乾いた血がこびりついている。

廊下で待たされていると、ふいに扉が開き、スーツ姿の中年男が出てきた。

その後ろに、金縁眼鏡の男。腕に抱えた書類鞄――見れば一発で弁護士だと分かる。

中年男は四十代半ば。手入れの行き届いた髪をきっちり撫でつけ、手首には金の腕時計が光っていた。

夏目千尋を見るなり、表情が一瞬だけ固まる。だがすぐに、何事もなかったような顔に戻した。

――中村要平。

心の中で名前がぴた...

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