第118章 酔った後のキス

夏目千尋は玄関のドアを押し開けるなり、靴を蹴り飛ばし、力が抜けた身体をそのままソファへ叩きつけた。

岩崎圭一の件を片づけたことで、胸の奥に引っかかっていた重たい石が、ようやく転げ落ちた気がする。

岩崎圭一さえうまく口裏を合わせてくれれば、葉山心菜と神崎雅臣のほうは、当面ごまかせる。

目を閉じ、やっと息をつこうとした、その瞬間。

ローテーブルのスマホがぶるっと震えた。

画面に表示された名前は、白石深尾。

夏目千尋は眉をひそめ、身体を起こして通話に出る。

「アンナさん」

白石深尾の声には焦りが滲んでいた。向こうの背景には、ざわざわした話し声と、グラスが触れ合う乾いた音が混じってい...

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