第121章 狙われた

夜八時。峰島ホテル最上階のスイート。

夏目千尋は救急箱を提げ、半開きになっていた扉をそっと押した。

リビングは主照明が落とされ、点いているのはフロアランプひとつだけ。淡い光が、部屋の輪郭をぼんやり浮かび上がらせている。

神崎雅臣はソファに腰を下ろしていた。身に着けているのは黒のシルクのバスローブだけ。帯はゆるく結ばれていて、胸元が大きくはだけている。

物音に気づいたのか、彼は顔だけをこちらへ向けた。

千尋は近づき、救急箱をローテーブルに置いて蓋を開ける。

「神崎社長、傷の手当てに来ました」

雅臣は何も言わず、従うように身体を横へ向けた。バスローブを腰のあたりまで落とし、背中を晒...

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