第129章 人違いでキスした

会議室の扉が開く。

神崎雅臣は大股で社長室へ戻った。

デスク前はがらんとしていて、ソファに残っているのは三上奈菜だけだった。

足音に気づくと、三上奈菜はぱっと立ち上がり、机上の数枚の紙を手にして駆け寄ってくる。

「雅臣、会議終わった?まとめておいたよ。見て、これでいけそう?」

紙を差し出す声には、手柄を主張するような調子が滲んでいた。

神崎雅臣は足を止め、室内をひととおり見回す。

あの女はもういない――それがなぜか癪で、胸の奥がざわついた。

受け取った紙に目を落とし、ざっと二行三行。

書かれているのは、どれもこれも中身のない常套句ばかり。

神崎雅臣は紙をデスクへ放った。か...

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