第134章 彼に責任を取らせるなら

闇の中、夏目千尋の体内で薬が燃え上がり、頭の奥に残っていた最後の理性まで焼き切った。

男の肌から漂う、ひやりとした気配――それを頼りに、溺れかけた者が浮き輪へ縋るみたいに、彼女はよろめきながら起き上がる。足元がもつれ、転びそうになりながらも、そのまま神崎雅臣の胸へ飛び込んだ。

柔らかな身体が、硬い胸板にぴたりと吸いつく。

千尋の細い腕が本能のまま首へ回り、縋りつくように絡みついた。

耐えきれずに頬を擦り寄せれば、赤い唇からかすかな嗚咽が漏れる。潤んだ瞳には涙の膜が張り、冷たく険しいその輪郭だけが、ぼんやりと滲んで見えた。

そして、無意識に口が動く。

「……旦那さん……」

その呼...

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