第137章 上から落ちてしまった

屋上へ通じる扉を押し開けた瞬間、風が吹き抜けて夏目千尋の髪がふわりと舞い上がった。

二歩ほど踏み出したところで、背後からカチリ、と乾いた音がする。扉が内側から施錠されたのだ。

千尋の足が止まる。振り返ると、夏目峰が扉の前に立っていた。手には鍵。彼はそれを握り締めたまま、やけにゆっくりとズボンのポケットへねじ込む。

「……なんで鍵かけるの?」

夏目峰は答えない。

そのまま、千尋へ向かって歩いてくる。

千尋は反射的に半歩退いた。

どこがどう、とは言えない。けれど背筋を氷で撫でられたみたいに、産毛が一斉に逆立つ。

「何が言いたいの。用があるなら早くして。私、病室に戻らないと……」

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