第138章 一生立てない

医師が数人、ストレッチャーを押して夏目峰を救命処置室へ運び込んだ。

夏目千尋は救急の扉の前に立ち尽くし、頭の中が真っ白になっていた。

廊下の向こうから、慌ただしい足音が駆けてくる。

岩崎明依が飛び込んできた。

小走りのまま処置室の前まで来て、窓越しに中を一目見た瞬間、全身がぶるぶると震えだす。

そして振り向くなり、夏目千尋を睨みつけた。

「何をしたの……!」

歯の隙間から絞り出すような声。ひと言ひと言が、骨ごと噛み砕く勢いだった。

夏目千尋はまぶたを持ち上げる。

身体はまだ震えているのに、声だけが妙に落ち着いていた。

「それ、私に聞くより……あなたの息子が私に何をしようと...

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