第139章 破産の危機

翌朝早く、夏目千尋はまず夏目家の別荘へ戻った。

靴を履き替えて中へ入ると、そのまま二階へ上がる。廊下の壁際、棚の上に花瓶が置かれていて――その裏に、ボイスレコーダーが隠されていた。

千尋はそれを手に取り、ポケットへねじ込んで階下へ降りた。

住宅街のゲート脇、段差に腰を下ろす。イヤホンを挿し、再生ボタンを押した。

しん……とした間のあと、男の笑い声が耳に刺さった。岩崎明依と、あからさまに情事の最中だ。

続いて聞こえてきた岩崎明依の声は、夏目博夫の前で見せるものとは別人みたいに下卑ていた。

千尋は眉をひそめ、吐き気をこらえるような顔になる。

「夏目峰から、例の金は引き出せたのか」

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