第145章 価値を確かめてから

夏目千尋はぎゅっと目を閉じた。長い睫毛が小刻みに震え、ひやりと冷たいデスクの天板が背中に食い込み、身体が強張る。

下唇を噛みしめ、喉の奥から絞り出すように、途切れ途切れの言葉を吐く。

「……早く……」

その一言に、覆いかぶさっていた長身の男の動きが、わずかに止まった。

神崎雅臣の喉仏がごくりと上下する。胸の奥から低い笑いが漏れ、意地の悪さを滲ませたまま耳元へ寄せた。

「早くって……本気で言ってる?」

言い終える前に、彼は乱暴に顔を落とし、彼女自身が噛んで赤くなった唇を容赦なく塞いだ。

侵略的なキス。拒む余地など与えない圧で、息ごと奪い取ってくる。

酸素を奪われ、夏目千尋の頭が...

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