第151章 オークション

夏目千尋が出てきたとき、全身どこもかしこも無事じゃなかった。

手首の縄は皮膚を擦り切って血が滲み、膝も床に擦れて皮が剥けている。

夏目家の門前の階段に座り込み、しばらく呼吸を整えてから、予備の携帯を取り出して警察に通報した。

警察の動きは、想像より早かった。

翌日の昼には交番から電話が入り、容疑者を確保したという。

「夏目さん、誘拐の黒幕は汐見千由美という人物でした。お知り合いですか?」

夏目千尋はスマホを握りしめ、指の関節が白くなる。

汐見千由美――従妹だ。

千尋は目を閉じた。前に病院で、汐見千由美が神崎雅臣を待ち伏せしているのを見て以来、意識して距離を取っていたのに。

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