第152章 出てこい

夏目千尋は退屈しのぎに、手元のオークションカタログをぱらぱらと二、三枚めくった。

並んでいるのは書画だの骨董だのばかり。正直、興味が湧かない。

三上隼人が身を寄せ、声を落とす。

「どれか気に入った? 落として君にやるよ。夏目グループを正式に引き継いだ祝いだ」

「いりません」

夏目千尋はカタログを閉じ、脇へ置いた。

「欲しいものないですし。それに、三上社長のお金は投資に回したほうがいいんじゃないですか?」

三上隼人は声を立てて笑う。

「君に使うなら惜しくない」

夏目千尋はそれには乗らず、自然に顔を上げて前方へ視線を流した。

――さっきまで前列にいた神崎雅臣が、いない。

隣...

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