第159章 男の服を着た

夜が明けた。

夏目千尋は目を開ける。

窓の外はもう雨が上がっていて、ガラスにはまだ水滴がいくつも残っていた。

彼女はシートに手をついて身体を起こす。身にまとっているのは、ぶかぶかの男物の白いシャツ。くしゃくしゃに皺が寄り、襟元は片側へずり落ちている。

車の外で、かすかな物音。

神崎雅臣がドアにもたれて、指の間に煙草を挟んでいた。

昨夜びしょ濡れになったままのシャツを着ている。暖房の風に一晩さらされて、ほとんど乾いてはいたが、布地は皺だらけで、逞しい背中のラインに張り付いていた。

車内の気配に気づいたのか、彼が振り向く。

長い指で窓枠をコツコツと二度叩き、吸い殻を揉み消す。

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