第20章 友達か義姉さんか

夏目千尋は、使用人のあからさまな悪意を肌で感じ、眉根を寄せた。

遅刻したのは事実だ。

この態度も、予想の範囲内。

結婚して三年――神崎雅臣は一度も帰国しなかった。年末年始や節目のたびに、夏目博夫に尻を叩かれて神崎家へ顔を出しに行っても、葉山真菜子はいつだって冷たい顔で迎え、遠回しに嫌味を浴びせてきた。

それが続けば、神崎家の使用人たちだって悟る。

この「若奥様」は飾り。神崎家の敷居を跨ぐ資格すらない――と。

「確かに来るのは遅くなりました。でも、あなた……」

「よく言えますね?」

使用人は玄関先に立ちふさがり、あからさまに白目をむいた。

「若様は毎日お忙しいんです。時間を決...

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