第207章 彼の胸にぶつかる

星盛グループ最上階、社長室。

岩崎圭一は白石深尾の背中に縋るようについて入り、膝ががくがくと笑っていた。

こんな豪奢な場所に足を踏み入れたことなど一度もない。まして、この先にいるのが神崎雅臣だと思うだけで、喉がひりつく。

デスクの向こうで、神崎雅臣は椅子に深く腰を預け、万年筆を指先で弄んでいた。

入室した気配を感じた瞬間、万年筆が――ぽい、と天板へ放られる。

岩崎圭一はびくりと肩を跳ねさせ、危うくその場に膝をつきかけた。

「か、神崎社長……」

唾を飲み込む音さえ大きく聞こえる。声は震えて、情けないほど掠れていた。

神崎雅臣はすぐには口を開かない。

目の前の男を、上から下まで...

ログインして続きを読む