第214章 身内をかばう

午後――。

星盛グループ、社長室。

神崎雅臣は本革のエグゼクティブチェアにもたれ、書類を手にしたまま、ページを一枚もめくらずにいた。

頭の中を占めているのは、朝、別荘を出るときの夏目千尋の顔だ。

歯を食いしばって悔しそうなのに、どうにもできずに睨んでくる――あの表情。

昨夜は散々だった。

今日会社に出たとしても、まともに歩けているかどうか。

そう思った瞬間、口元が勝手にゆるむ。

そのとき、デスクのスマホがぶるっと震えた。

画面に表示されたのは、原崎陽太。

神崎雅臣は通話を取り、ついでにスピーカーを入れる。

「雅臣、帰国した」原崎陽太の朗らかな声が響く。「今夜、いつもの場...

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