第22章 ひとまず保留

夏目千尋はパソコンの前に座り、画面に表示された企画の要件を二十分も睨んでいた。けれど、文字は一つも頭に入ってこない。

脳裏を埋め尽くしているのは、さっき神崎家で葉山心菜に浴びせられた言葉だった。

「時間を守らない人って、いちばんムカつくの」

「前に彼を怒らせた会社、J市から跡形もなく消えたって」

考えれば考えるほど落ち着かず、千尋はファイルをぱたんと閉じるとスマホを取り出した。

仕事用ではない。私用の回線だ。

神崎雅臣は彼女の顔を知らない。千尋もまた、彼の前に姿を現したことが一度もない。二人を繋ぐ唯一の手段は、このLIMEだけ。

千尋はトーク画面を開き、文字を打ち込む。

【神...

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