第27章 彼にチップを借りる

第5局はまだカードすら開いていないというのに、鳴海奏斗は最初から彼女を楽に帰すつもりなどなかった。

テーブルのチップをつまみ、指先でくるりと転がしてから、ゆっくりと前へ押し出す。

「言い忘れてた。ラストは――レイズな」

夏目千尋の指が、きゅっと強張った。

鳴海奏斗はチップの束を几帳面に積み上げる。額面は1000万。真ん中へ、どんと置いた。

「持ってんの?」

問いかけは気だるげなのに、視線だけは夏目千尋に貼りついたまま。

「なくてもいい。貸してやるよ」鳴海奏斗はテーブルの上で指を円を描くように滑らせ、声を少し落とす。「ただし――利息はもらう」

「利息」の二文字を、わざと噛むよう...

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