第40章 彼の上に倒れた

松本文子は口を開いた。だが、弁解の言葉は一文字も出てこなかった。

警官が歩み寄り、床に落ちた腕時計を拾い上げると、松本文子を一瞥した。

「署まで来てもらう」

松本文子は膝から力が抜け、今にもその場に崩れ落ちそうになる。

「私じゃない、本当に私じゃ……」

繰り返しても、もう誰も信じない。

警官に促され、彼女は連れていかれる。

宴会場の人間は自然と道を空け、視線が一斉に突き刺さった。ひそひそ声が波のように広がっていく。

「副学長が盗み? 学校の面子丸つぶれだな」

「さっきまで正義面してたくせに、結局自分が泥棒とか」

「疑われた子、危なかったよね。冤罪寸前じゃん」

木村美弥は...

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