第45章 消えた

高級住宅街を出ると、夏目千尋はタクシーを拾った。車が走り出してまだ2分も経たないうちに、スマホが鳴る。

上村さんからだ。

千尋が通話に出ると、向こうの声は震えていた。

「夏目さん、キャンディーが……キャンディーがいなくなっちゃいました!」

千尋は背筋が跳ね、思わず座り直す。

「いなくなったって、どういうことですか?」

「今朝、買い物に出たときに、ドアをちゃんと閉められなくて……。戻ったらキャンディーがいなくて、2周探したんですけど、見つからなくて……」

後半は声が裏返り、泣き出しそうだった。

千尋はスマホを強く握り、胸の底がすうっと冷える。

「すぐ戻ります」

電話を切ると...

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