第54章 嫉妬

中島玲子は石柱にもたれ、頬の半分がまだヒリヒリと腫れ上がっていた。

夏目千尋が東屋に入ってくると、いつもの癖で嫌味のひとつでも投げようとした。だが視線がふと、彼女の背後に立つ男へ流れる。

中島玲子は、口をつぐんだ。

神崎雅臣を、まる二秒見つめる。

千尋の後ろに立つ男は、肩幅が広く脚が長い。体格も申し分ない。シャツの片側は雨に濡れて肌に貼りついているのに、みっともなさは微塵もない。

袖口は二度巻かれ、手首には腕時計。ブランドは分からない。けれど、分かる。高いとか安いとか、宝石がどれだけ付いているとか、そういう「高級」じゃない。

一目で悟らされる。自分が一生かかっても手に入らない、そ...

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