第55章 口数を減らせ

夏目千尋は口を挟まなかった。

ちらりと伯父さんを見る。

伯父さんは東屋の縁に立ったまま、風に吹き込んだ雨で身体の半分を濡らしていた。唇をきつく結び、表情は強ばっている。

濡れた髪が額に貼りつき、実際より十は歳を重ねて見えた。

伯母さんは地面にしゃがみ、片手は中島玲子を引き留めようとした姿勢のまま、もう片方の手は無意識に服を握りしめている。

そっと息を殺し、声も出せずにいるその様子が、夏目千尋の胸を塞いだ。

――伯父さん一家の事情は知っている。

従兄が獣にも劣ることをし、中島玲子は無理やり嫁がされた。以来、伯父さんも伯母さんも罪悪感を抱え続け、彼女のわがままも好きにさせ、何もかも...

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